Civic Hack OSAKA 2014 をやってみたらとてもたのしかった

8月24日、31日にCivic Hack OSAKA 2014というイベントを開催しました。
IT系のエンジニア、クリエイターと行政の職員がいっしょにチームを組んでやるアイデアソン・ハッカソンというイベント。特にお題を決めてかかるわけじゃなくて、組んだチームが自由に考えてやる、まあ素朴なHackathonです。

なんというか、これは前からとてもやってみたいと思っていて、けど「たぶん公務員の人とか呼んでも来てくんないよな。」とか「こんな組み方してもまともにアイデアでてこないんじゃないか」とか不安があって躊躇してたんだけど、イノベーションハブの角さんやMiMoSの原さんが「やりましょう!」って言ってくれたのでなんとかなるかもしれないと思ってやりました。

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いやほんと、前からやりたかったんですよ。日本でもシビックテックとかCode for なにがしとかいうのは地域でもたくさん立ち上がって様々な検討がされていると聞いています。東北方面では特に活発で、ハッカソンやいろいろな地域活動に結びついていますね。とても素晴らしいことだと思います。


そういう動きを地域の自治体などの行政がキャッチアップして活動を支援しているというのはよくある流れなんだけど、行政と技術者がいっしょになって活動する体というのはあまり聞いたことがないです。行政はあくまで支援するのであって、実際にアイデアを出したりものつくったりするのは技術者がやってるわけですね。

それはそれですごいことなんだけど、「実際に行政といっしょにものをつくりたい」という気持ちがあってですね。行政サービスというのは普段からいろいろdisられているんだけど、エンジニアとしては「問題があるなら解決できるものつくったらいい」という思考に即なるわけで、行政の人とガチで話し合って市民として、エンジニア目線でものづくりにトライしたらいいものができるんじゃないかと。

公務員と技術者が同じ目線で同じ目的に向かってモノづくりしてみると新しいなんかが生まれるかもしれないと思って。まずはやってみようという感じでやってみた感じです。

 

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で、募集してみたら毎日新聞さんに取り上げられたり、いろいろな方が公務員やエンジニアの方に声をかけていただいたりしてあっという間に満席になって、かなりニッチなハッカソンなのにちょっとびっくりした次第。


シビックハック:IT技術者と行政が大阪でコラボ 問題解決アプリ開発へ - 毎日新聞

ふたを開けてみると約半数が公務員という当初の想定からは逆のエンジニア少なくね?みたいな比率になってちゃんとモノがつくれるか?という感じだったけど、結果発表がすごいことになりました。

今回は大阪市高槻市和歌山県兵庫県、神戸市、松江市の職員の方々が参加。大阪だけでなく関西・中国地方の各自治体から有志の職員さんが参加されました。異なった行政圏の職員がチームを組んでものづくりに取り組むという機会もなかなかないのではないでしょうか。

実際やる気のある技術者、やる気のある公務員がチームを組むと、こんなに面白いのか。と実感できる内容でした。参加者の方々から「おもしろかった!」という声をいただいたのも何よりうれしかったです。

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個人的に、Civic Hackでは技術者には自由に技術をふるまってほしくて、公務員の方々には技術はわからないまでも「こんなのがあるのか、こんなことができるのか」みたいなことを感じてほしかった。ので、ソフトウェア、ハードウェアの両面で運営側から何か提供したいと思いました。

が、まあ金がないのは毎度のことで、どうしようかなと思っていたところ、協力していいただける企業さんが名乗りをあげてくれて、想像以上のレベルで実現できました。何でも言ってみるもんです。ほんと感謝感激雨あられ

株式会社ニューフォリアさんからHTML5マルチプラットフレームワーク applican の開発支援の提供、ハードウェア系ハッカソンで有名な GUGEN さんからArduinoをはじめとする開発用ハードウェア、センサー類の貸し出し、日本ナショナルインスツルメンツさんから、計測機器の試用などをご提供いただきました。なんつーかすごい盛りだくさんでした。

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イデアソンから、ハッカソンまで。アイデアが決まってから1週間あったので各チームいろいろ仕込んでいたようです。ハッカソン当日はとにかくものづくりに集中していましたが、元データやプレゼンの計画などは各チームハッカソンまでにけっこう練っていたようです。アイデアソンででた各チームのアイデアはこんなかんじ。

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公務員が半数という構成のハッカソンで、当日はどんな作業の感じになるかわからなかったんですが、全体的にみんな忙しく手を動かしている状態でした。技術者は主にアプリなど黙々と開発している感じ、公務員はデータをまとめたり、プレゼンアイデアを練ったり、スライドをつくったり。過去の経験からもそうですが、どんな人でもハッカソンの場に身を置くとなにかで忙しくなるもんです。ヒマになる人なんていない、ちょうどいい焦燥感があって、みんなで忙しさを楽しめるのが良いハッカソンですね。

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特に公務員の人たちはプレゼンの作成に集中していました。よく考えたら行政マンって広報とかでプレゼンも大事な仕事ですよね。そのせいもあってか、結果発表のクオリティがとんでもないことになりました。数々のハッカソンをやってますがはっきりいってこんなにエンターテイメントな発表ははじめてでした(笑)

まず、チーム ビーコンファイブ。商店街などにBLEビーコンを設置して見守り・保安に役立てようという「まちビーコン」プロジェクト。

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何気にロゴっぽいタイトルつくってます。
しかも寸劇形式、まちビーコンを売り込みにきたセールスマンと商店街のオッサンの対談形式でアピールしています。セールスマン役の人はこのためにスーツ着てきたと思う。だって当日は日曜日なのに。商店街のオッサン役の人は某役所の職員さんなんですが、ミナミの帝王に出てくる借金かかえた町工場の社長みたいでした。


チーム プッシュ大阪。行政の広報誌をアプリでプッシュ配信。
こちらも寸劇かと思いきや、ラジオドラマ形式。スライドをテロップ風に使うとか斬新すぎる。

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延々テロップと寸劇が繰り返されるので、「かんじんのアプリは?」とツッコミそうでしたが、ちゃんと作れていたのでよかったです。

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チーム サキイカ。災害時の避難経路共有サービス。市民が災害時の情報を行政に報告できる仕組み。

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こちらも寸劇。模造紙余ってないですか?と聞かれたんですが、タスキつくってたのか。。この方、阪神大震災のときに災害対策本部をされていたとのことで、演技が生生しかったです。本部での情報の混乱とその整理がいかに大変かということが伝わりました。解決するための仕組みが必要と切実な訴えです。

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チーム ゴミ。毎日のごみ収集のタイミングをカウントダウンでお知らせ。
これ個人的には超ほしいです。朝ごみ出しに行ったら収集車が行った後だったというのが1回や2回じゃないので。

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めったにない収集のタイミングを教えてくれるとか、これもほしいです。

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チーム SHOK。 地域の奉仕活動などの活動情報を、活動したい市民とマッチングするサービス。マッチングだけでなく活動実績をポイント化してTポイントや学校の内申点に還元するなどの仕組みも用意。かなり具体的なビジネスモデルでした。

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チーム DAN-SA。 町の道路などにある段差の情報を共有。障害者やベビーカーなどでの通行の援助に。
こちらも寸劇。寝ている女性は段差の役だとか。段差役なんて聞いたことない。

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作成したアプリモックアップを発表中にQRコードでダウンロードできるところまで。用意周到です。

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審査は全員投票+審査員票で決定。アイデアソン時点で、DAN-SAとビーコンファイブには優秀点が加点されています。基本的には参加者の投票数が一番重要になります。

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結果、1位サキイカ(避難情報共有)、2位DAN-SA(段差情報共有)、3位プッシュ大阪(広報誌アプリ)。2位、3位は同ポイントという接戦でしたがアイデアソン優勝だったDAN-SAを評価して2位としました。

1位チーム サキイカ。賞品はArduino Uno Rv3

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2位 チーム DAN-SA 賞品は「ハルロック」1巻

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3位 プッシュ大阪 賞品はたこ焼きようかん+たこ焼きキャンディ

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ハッカソンは向かうための目標とするたに、あえて順位づけをしたほうが楽しいんですが、実際は優劣をきめられるようなことじゃないです。今回のCivic Hackででた作品はどれもよく考えられていて、実際の行政に活用できるものだと思いました。審査員の方々からも「これほど実用的なアイデアがでてくるとは思ってなかった」という声がありました。

この辺りは実際の行政の現場に携わる公務員と、技術者がチームを組んだことに意味があったように思います。参加された技術者の中には「うちのチームで考えたやつをこれで終わらせるのはもったいないからイベント後も作りつづけて完成させます!」とおっしゃった方もおられました。

こういう姿勢が本質的なボトムアップ型の市民参画型行政の姿だといえるんじゃないでしょうか。「行政が支援するから」「助成金がでるから」じゃなくて実際に問題を認識して、どこにも媚びず解決するサービスを開発し、それを行政と共同で運営していく。こういうのが本当の意味で市民が行政に参加するということ、技術で行政を助けるのがCivic Tech / Civic Hackの意義だと思います。

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行政サービスも人が運営しているものです。その地域を担う行政の職員と市民がいっしょになって運営して、その難しさも、達成できた時の喜びも分かち合えるとよりよい自治体が形成できるのではないでしょうか。

 

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ほんと今回は楽しかったです。他の地域から来られた行政職員の方々も自分の地域でもCivic Hackをやってみたいとおっしゃっておられました。ぜひやってください。ボクもまたやりたいと思います。

最後に、協賛いただいた企業様、協力していただいた審査員の方々。厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

なにより、参加されたみなさん。おつかれさまでした!
またやりましょう。

Happy Hacking !!